らしいとらしくない。

土曜の休日出勤のあと、道連れの若手の同僚としょっぱい貝ラーメンを食べた後でウィスキーを呑んでいた。

彼は自分の職場のポジションを「緩衝材」と言い切ってはばからない人間だ。

厄介なお客さんとのやりとりがうまかったりしてちょっと重宝されている。
いわゆる「なんとなく嫌われないタイプ」。

職場での人の評判についての会話をしていたとき、
「人のキャラ付けって重要なんですよ。
例えばぼくが突然休憩所とかで名指しで人の悪口とか言い出したら引くでしょう?
『なんじゃこの人?』って思われる人って、たいがいらしくない行動とってるんですよ」

名指しで人の悪口言ってる奴はキャラ付け関係なく引かれるやろ、とは思いつつ、その時は「ふんふんなるほど」と聞いていたのだが、「嫌われる人」って「嫌われる人らしい行動」をするから嫌われるのじゃないか、とも思った。

つまり、嫌われる人、ってのは生来、生れながらにして、ナチュラルボーン嫌われるべくして嫌われるってこと?

それはそれで救われないなぁと思ってもう少し考えてみる。

今回の話の筋は二本ある。

1:「ある行動を取って嫌われる人」
2:「らしくない行動を取って嫌われる人」

1:
例えば、仕事の責任を取らなかったりほっぽり出したりする人が嫌われるのは、それで実害を受けた人からすると当然の人間感情である。

2:
らしくない行動を取る、というのは、多分「周りが期待している本人の役割からズレたことをする」から、嫌われる、というより顰蹙を買うというやつなのだろう。

合わせ技で解釈すると、ポジション的〈管理職とかリーダーとか〉に責任を取らないといけない人が責任を取らずに逃げ出したりして「役職に相応しい行動」が取れず、結果として評判が落ちる。
この場合、例えば役職者でなかったとしても、「この人はお客さんとの調整がうまい」とか「この人に任せておけば品質管理は安心」みたいな水面下のイメージも含む。

この場合の「自分らしい」というのは「個人のキャラクターに合致している」という意味ではなく「与えられたポジションで周囲から求められている」ことを指すのだろう。

まとめると。

職場での評判を上げたければ。

1:「求められている仕事をすること」
2:「1:でついたイメージを崩さないように仕事をし続けること」

なるほど、当たり前だ。
で、これ意外とできてる人が少ない。
というか、自覚してる人自体が数少ないと思う。

で、僕はどうしたいかというと。

3:「さして職場の評判を上げたいわけでもないので気にしない」

が最適解ということになりました。
なによりこんなこと気にするのは僕らしくないや。