一番まともな人材を頼む。

たまたま調べ物中に、松浦 正浩さんという明大の先生のサイトを見つけて、とても面白かったので読み込んでいるところ。

http://www.mmatsuura.com/index.php

 

専門は交渉学だそうな。

交渉学ってなんやねんという内容についてブログの中でわかりやすく面白おかしく述べておられる。

そして、わかったつもりになって反芻してみると僕には全然わかってないということだけはわかった。

なるほど無知の知とはこれか!〈そこかよ。

 

専門分野にしている人がいるような内容についてそんな簡単にわかるはずがないのだが、難しいことをいかにわかりやすく伝えるか、というのと同時に、簡単に理解できるはずもないことをいかにわかった気にさせるか、というのも説明技術の一つなんだな、と妙な納得の仕方をしてしまった。

 

さて閑話休題

PC使ったことない、で一躍有名になった桜田サイバーセキュリティ担当相。

 

世界的に報道されたことで自分が有名になったとはしゃいでたりされているのですが、〈凄腕のハッカーでもパソコン使ってない人のプライバシーには侵入できない!〉とか生ぬるいいじられ方をされてる。

予算のことといいボランティアのことといいデザイン権利関係のことといい、東京五輪は盛大なネタづくりなんじゃなかろうかと思えてきた節がございます。

 

オリンピックにしろワールドカップにしろ、スポーツ観戦そのものにさして興味を持てない人種の非国民としちゃ、その予算と労力使って西日本のほうに第3東京タワーでも立てた方がよっぽど経済効果あるんちゃうかなと思ってたり。

 

それはともかく、上でご紹介した松浦さんの以下の文章が、今回の桜田担当相の件にぶっすり刺さる気がするので引用させていただきます。

 

http://www.mmatsuura.com/negotiation/lect/lecture11.html

 

※以下、社会的合意形成における利害関係者の取りまとめについての一文

—- ココから引用

利害関係者の代表が集まり、多くの場合で第三者ファシリテーター、メディエーターとして関与して、議論を進めます。ファシリテーター、メディエーターは当該分野の専門知識をある程度持った人(例えば公共事業であれば、土木や都市計画、行政運営の最低限の知識のある人)でなければなりません。単なる「プロセス運営のプロ」では空虚な仕切りになるのでダメです。また、議論の中で、科学的、工学的な問題(交通需要予測、大気質汚染の評価、景観の評価など)が絡む場合は、第三者的立場にいる技術者が評価を行なう共同事実確認(Joint Fact-Finding)という枠組みを導入することもあります。

—- ココまで引用

 

結局、議決を要する社会的な合意形成について、そのジャッジをしたり結果を導いたりする人は、該当の内容について相応の、通り一遍でない知見が必要であるということと理解しました。

 

第一言語C言語です!〉みたいな冗談がどこかにあったけど、情報技術分野に限らず、各専門分野の知識の有無ってもはや〈言語の壁〉を形成してるに等しい。

パソコン触ったことがない人にセキュリティパッチの有用性や、Windows7のサポートをMicrosoftが止めることがどんな影響を及ぼすかを説明したところで理解を得られるはずがない。

 

当然、管理する人間があらゆるレイヤーの技術に精通するのは不可能なのだけど、自分が知ってるレイヤーの技術を下敷きに、発生した問題がどのような影響を及ぼしうるか、を理解した上でないと、正しい判断なんかできっこ無いのである。

 

〈パソコン触ったことない人がセキュリティ担当です!〉って、世界のやんちゃなハッキングを趣味にしてる人たちに〈ここにセキュリティホールがあります!〉って明言してるようなもんなんだけど。

そんなとこでおもてなししてどーすんだ、そんな人事で大丈夫か、クールジャパン。